
突然、歯がズキズキと痛み出したり、頬や歯ぐきが腫れてきたりすると、不安に感じるものです。
特に夜中や休日に症状が出た場合、「このまま様子を見て大丈夫なのだろうか」「すぐ歯医者に行ったほうがいいのだろうか」と迷ってしまうこともあるかもしれません。
また、時間の経過とともに症状が落ち着いて、「もう大丈夫」と受診を先延ばしにしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
けれども、歯の痛みや腫れは、むし歯や歯周病などお口のトラブルが原因で起こっていることが多く、放置すると症状が悪化する可能性があります。
痛みや腫れが一時的に治まったとしても、原因そのものが解消されたわけではないからです。
症状をくり返さないためにも、気になる症状がある場合はできるだけ早い受診がおすすめです。
ほかにも、転倒や衝突などで、歯が欠けたり折れたりしたときも、できるだけ早く適切な対処をする必要があります。
今回は、突然の歯の痛みや腫れ、外傷が起きたときの対処法と、歯科医院を受診する目安についてお話しします。
Contents
痛みがあるときの対処法

歯の痛みや腫れは、ある日突然起こることがあります。
痛みや腫れがあるときは、可能な範囲でできるだけ早く歯科を受診しましょう。
痛みがあるときは安静に
といっても、夜間や休日など、すぐに歯科医院を受診できないタイミングで症状が出ることもあります。
痛みや腫れの原因によって応急手当の内容は異なりますが、痛みや腫れがあるときは安静に過ごすようにしましょう。
濡れタオルで冷やす
温かいものを口にしたときに痛みが出るときは、冷やすことで痛みが和らぐ可能性があります。
なぜなら、痛みが出始めた時期(急性期)は、炎症によって血液の流れが活発になっている状態だからです。
この時期は、冷やすことで痛みが和らぐ場合があります。
ただし、冷やすことで、血管が収縮します。血流が阻害されると患部に酸素と栄養が行き届かなくなり、回復が遅れてしまう可能性があります。
また、長期間、強く冷やしすぎるのはやめましょう。
氷や保冷剤を直接あてず、濡れタオルを頬にあてるようにするなど、冷やしすぎないように気を付けましょう。
市販薬で一時的に対策
市販の応急処置薬を服用することで、痛みが一時的に和らぐことがあります(使用する場合は用法・用量を守り、持病や服薬中の薬がある方、妊娠中・授乳中の方、小児は事前に医師・薬剤師に相談してください)。
そのほかにも、痛む歯で強く噛んだり、指や舌で触ったりすると症状が悪化することがあるため注意しましょう。
このような応急処置によって、一時的に症状が和らいでも、痛みや腫れの原因を根本的に改善するためには、歯科医院での診察と適切な治療が必要です。
歯が折れたり欠けたりしたときの対処法
歯が折れたり欠けたりした場合は、慌てずにお口の中を確認し、出血がある場合は清潔なガーゼやティッシュで軽く押さえて止血します。
欠けた歯の破片が見つかった場合は、乾燥させないように保管し、できるだけ早く歯科医院へ持参しましょう。
また、折れたり欠けたりした部分は刺激に敏感になりやすいため、触ったり強く噛んだりするのは避けることが大切です。
歯の状態によっては、詰め物や被せ物、神経の治療などが必要になることもあるため、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
ただし、歯が折れたり欠けたりした際に頭を打った場合は、まず頭部の救急受診(脳神経外科)を最優先にしてください。
急な痛みや腫れのおもな原因

歯の痛みや腫れは、さまざまな原因によって起こります。
原因によっては、一時的に痛みが落ち着くことがありますが、原因そのものがなくなったわけではないことが多いため、できるだけ早く歯科を受診することが大切です。
むし歯の進行
代表的な痛みの原因は、むし歯の進行です。
むし歯が歯の神経まで達すると、ズキズキとした強い痛みが出ることがあります。
ここまでむし歯が進行すると、
・冷たいものや温かいものがしみる
・何もしなくても痛む
といった症状があらわれ、症状が急に強くなる場合もあります。
歯根の炎症
神経を抜いている歯などに細菌感染が起こることで、痛みを感じることがあります。
また、歯の根の先に膿がたまる「根尖性歯周炎」になると、
・噛むと痛い
・歯ぐきが腫れる
などの症状があらわれることがあります。
親知らずの炎症
親知らずは奥に生えているため磨きにくく、周囲に汚れがたまりやすい歯です。
汚れが溜まることで、親知らずの周囲の歯ぐきが炎症を起こし、腫れや痛みが出ることがあります。
口が開けにくくなったり、飲み込むときに違和感が出たりする場合もあります。
歯ぐきの炎症
歯周病が悪化すると、歯ぐきが腫れて痛みが生じることがあります。
歯ぐきの炎症がひどくなり、膿が生じると、膿が周囲の組織を圧迫するため激しい痛みや腫れを引き起こします。
歯の外傷
転倒やスポーツ中の衝突、硬いものを強く噛んだときなどに歯へ強い力が加わることで、歯やその周囲の組織がダメージを受け、痛みが生じることがあります。
痛みを感じるのは、衝撃によって、神経や血管を含む「歯髄」に炎症が起きることがあるからです。
また、歯に細かなヒビが入ったり、歯を支える歯根膜が傷ついたりする場合も、噛んだときの痛みや違和感の原因になる可能性があります。
外傷によるダメージは見た目ではわかりにくい場合もあるため、強い衝撃を受けた場合は早めに歯科医院で確認することが大切です。
どんな症状が出たら歯医者を受診すべき?

歯の痛みや腫れがある場合、「どのタイミングで歯医者に行けばいいのか」と迷うこともあるかもしれません。
受診の目安として、いくつかの症状があります。
たとえば、
・ズキズキと脈打つような強い痛みが続いている
・何もしなくても痛みがある
といった場合は、歯の神経に炎症が起きている可能性があります。
また、
・顔や歯ぐきが腫れている
・発熱を伴っている
といった場合には、炎症が広がっている可能性も考えられるため、できるだけ早い治療が必要です。
ほかにも、
・噛んだときに強く痛む
・痛み止めを飲んでも症状が改善しない
・痛みを何度もくり返す
といった場合も、お口の中でなんらかのトラブルが起きている可能性があります。
少しでも不安を感じた場合は、「もう少し様子を見よう」とガマンするのではなく、症状が軽く感じられても、気になる場合は、まずはご相談ください。
いきなり受診しても大丈夫?歯科医院の受け入れ体制について

歯科医院は予約制のところが多いですが、急な歯の痛みや腫れなどの症状に対しては「急患対応」を行っていることも少なくありません。
痛みがある場合には、まず歯科医院へ電話で相談しましょう。
症状について伝えることで、急患としての受診のタイミングを案内されることがあります。
症状によっては、予約をしていなくても、診察を受けることが可能です。
「予約していないから」と遠慮してしまう方もいらっしゃいますが、痛みをガマンする必要はありません。
当院も急患にも対応していますので、痛みや腫れがある場合は、まずはお電話にてご相談ください。
早期受診のメリット

歯科を早めに受診することで、多くのリスクを未然に防ぐことができます。
歯や歯ぐきのトラブルは、初期の段階では自覚症状が少ないことも多く、気づかないうちに進行してしまうケースが少なくありません。
痛みや腫れなどの症状があらわれたときには、かなり進行している可能性があるのです。
むし歯の進行を食い止められる
むし歯になると、進行を食い止めるためには、感染部分を削る治療が必要です。
初期の段階で発見できれば、歯を削る量を最小限に抑えた治療が可能になる場合があります。
小さなむし歯のうちに治療を始めることができれば、歯の神経まで進行する前に処置を終えられる可能性が高くなります。
反対に、むし歯を放置してしまうと、神経まで感染が広がり、強い痛みが出たり、根の治療が必要になったりすることがあるのです。
早い段階で治療を受けることで、歯を守ることができるのはもちろんのこと、治療の負担や通院回数、費用を抑えられる可能性があります。
歯周病による歯の喪失を防ぐ
歯周病は、細菌感染が原因で歯ぐきや歯を支える骨に炎症が起こる病気で、進行すると歯を支えている骨が少しずつ溶けてしまいます。
症状が進むと歯を支えられなくなり、最終的には歯を失ってしまう可能性もあります。
実際に、日本では、歯周病が歯を失う原因の第1位の病気です。
しかし、歯周病は初期の段階で発見し、適切なケアや治療を行えば、進行を食い止めることができ、歯を維持できる可能性が高くなります。
口内環境の悪化を防ぐ
歯磨きが不十分な状態が続くと、歯の表面や歯と歯の間に歯垢(プラーク)が蓄積し、やがて歯石へと変化します。
歯石は歯ブラシでは取り除くことが難しく、細菌が増えやすい環境をつくる原因になるのです。
その結果、むし歯や歯周病、口臭などさまざまなお口のトラブルにつながる可能性があります。
歯科医院で定期的に歯石を除去することで、お口の中を清潔な状態に保つことができます。
突然の痛みをくり返さないために

患者さま自身の健康を守るためにも、痛みや違和感があれば、できるだけ早く通院することが大切です。
お口のトラブルは症状が軽い段階で対応するほど、治療の負担を軽減できる可能性があります。
また、痛みや違和感があるときだけでなく、定期的に歯科医院を受診してお口の状態をチェックすることをおすすめします。
治療によって痛みが消えたからといって、すべての問題が解決したとは限りません。
症状が落ち着いた後も、必要な治療や予防のためのケアを継続することで、健康な状態を維持することができます。
定期的に歯科検診を受けていれば、むし歯や歯周病などを早い段階で見つけることが可能です。
また、歯磨きを中心としたセルフケアが適切に行われているかをチェックすることもできます。
突然の痛みや腫れを防ぐためにも、かかりつけの歯科医院を持ち、定期的にお口の状態をチェックしてもらうことをおすすめします。








