むし歯治療を途中でやめたり、痛みをガマンしたりしている間に、むし歯が進行し重症化してしまうことがあります。
気が付いたら歯がボロボロになっていて、「もう抜くしかない」とあきらめている方もいらっしゃるでしょう。
実際に、神経にまでむし歯が広がった場合は、抜歯をするのが当たり前でした。
けれども、先進の設備を活用しながら丁寧に治療を進めていけば、歯を残せる可能性があります。
ここでは、歯を残すための治療「根管治療」について、くわしくお話しします。
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ボロボロの歯でも抜かずに残せる可能性があります
一度むし歯になると、自然に治ることはなく、少しずつ感染が広がります。
そのままにしていると、歯がボロボロになり、最終的に歯を失うことになってしまいます。
しかし、放置せずに適切な治療を行えば、ケースによっては歯を抜かずに残せる可能性があります。その方法をご一緒に見ていきましょう。
ボロボロの歯とは
まず前提として、ボロボロの歯、とはどのような状態のことをいうのでしょうか。
お口の中のむし歯菌は、食べものの残りかすや糖分を分解する過程で酸を生成します。
この酸によって歯が溶かされて、穴があいてしまうのが「むし歯」です。
むし歯は外側のエナメル質から内側の象牙質へと広がり、神経組織に感染が広がると、激しい痛みを伴うようになります。
神経組織には感覚を伝える神経だけでなく、栄養や酸素を供給する血管などがあり、それらが失われることで栄養や酸素が行き渡らなくなります。
その結果、歯ぐきから上の部分の大部分が溶かされたり、変色したりといった「ボロボロの歯」といわれる状態になるのです。
ボロボロの歯をそのままにしているとどうなる？
歯がボロボロの状態では、しっかりと噛むことが難しくなるでしょう。
噛み砕かずに飲み込むと胃や腸に負担がかかります。
栄養の吸収率も下がり、全身の健康にも影響が出てしまいます。
さらに、増殖したむし歯菌が血管に入り込むことで、さまざまな臓器に影響が出て、全身疾患を引き起こす恐れもあるのです。
また、歯の大部分が失われた状態になると、場所によっては、お口を開けたときに目立ってしまいます。
人に見られたくなくて、口元を手で隠したり、人との会話や交流を避けたりするようになるなど、社会生活に影響が出ることにもなりかねません。
ボロボロの歯の治療「根管治療」
以前は、むし歯が進行して神経組織に達した場合は、抜歯を行って入れ歯やブリッジなど、被せ物で補うのが一般的でした。
けれども、どんなにすぐれた被せ物でも天然の歯に勝るものはありません。
そのため、当院ではすぐに「抜歯」を行うのではなく、精密な「根管治療」で歯を残せる可能性を探ります。
根管治療では、
・根管内部から感染した神経組織を取り除く
・根管内部を洗浄・消毒する
・薬剤を充填させる
（根管内がきれいな状態になるまで繰り返し行う）
・無菌的な状態にしてから密閉する
・被せ物を装着する
といった流れで治療を行い、ボロボロの状態の歯も抜かずに維持する可能性をひろげます。
目に見えてボロボロの状態であれば、１回の治療ですべてを治すということは難しいでしょう。
痛みが強い場合は、まず最初は緊急的に痛みを取り除く治療を行います。そのため、「治療を受けて歯痛がなくなった！」と気持ちが軽くなっていただけるとは思うのですが、これはあくまでも応急処置で、根本的な原因を取り除いたわけではありません。
お口の中の状態が悪ければ悪いほど、治療が終わるまでの通院期間がかかりますが、途中でやめず、必要な治療を受けていただくことが大切です。
また、なるべく歯科治療の負担を減らしたい方は、定期検診を受け、早期発見・早期治療をめざすことが大切です。
根管治療に期間が必要な2つの理由
根管治療とは、その名の通り歯の内部にある根管の治療です。
軽度のむし歯であれば、1回で治療が完結することもありますが、根管治療の場合複数回にわけて行うため、治療が終わるまでに期間が必要となります。
「どうして何回も通院しなければならないの？」と思うかもしれませんが、根管治療を複数回にわけて行うのには理由があるのです。
1．再感染のリスクを下げるため
根管内部は、非常に複雑な構造をしていて、個人差もあります。
歯ごとに根管の数は異なり、枝分かれしている場合もあります。
根管治療では、根管内部から感染した神経組織をすべて取り除くことが大切です。
取り残しがあれば、そこからむし歯が再発し、再治療が必要となるからです。
根管治療をくり返すことになると、歯にダメージが蓄積し、最終的に歯を失うことになりかねません。
また、根管は傷がつきやすい繊細な組織でもあります。
スピード優先で手間をかけずに治療を進めると、根管内部に傷をつけてしまう恐れがあるのです。
根管内部にできた傷は、むし歯の原因となるため、再発のリスクが高まります。
時間がかかっても丁寧に治療を進めることが、歯を残すことにつながるのです。
2．根管内部の殺菌に時間がかかるから
根管治療では、感染部分を取り除いてから、根管内部に薬剤を詰めて仮の蓋をして、内部の細菌を減らしていきます。
感染の程度によっては、一度では完全に細菌を除去することはできません。
この作業を何度もくり返すことで、細菌を徐々に減らし、最終的に滅菌させることができます。
滅菌が不十分な状態で次のプロセスに進んでしまうと、治療後に再発するリスクが高くなるため、時間がかかってもしっかりと滅菌することが大切なのです。
時間がかかっても根管治療を受けたほうがいい3つの理由
歯の根管治療は、時間がかかる理由についてご説明しましたが、患者さまにとって、通院回数が増えるのは負担になるでしょう。
けれども、根管治療は大切な歯の寿命を左右する治療です。
根管治療を最後までやりとげることで、さまざまなメリットが期待できます。
1．天然の歯を残すことができる
根管治療の最大の目的は、歯を残すことです。
歯は一度抜いてしまうと、二度と元には戻りません。
「歯を失ったら入れ歯にすればいい」という考え方もありますが、天然の歯に勝るものはないのが現状です。
天然の歯は人工的な歯よりも、噛む力が強く、周囲の歯に負担をかけません。
また、残っている歯の数が多い方が健康的な日々を過ごせることもわかっています。
2．感染の拡大を防ぐことができる
根管治療を行わなければ、むし歯の感染は広がり続けます。
根の先端から顎の骨に広がり、「顎骨骨髄炎」を発症することもあるのです。
さらに、細菌が血液を通じて全身に広がることで、心臓疾患や糖尿病など、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
根管治療は、お口だけでなく全身の健康維持にも効果があります。
3．トータルの医療費を削減できる
根管治療は通院回数も多いことから、時間だけでなく費用がかかると感じることもあるでしょう。
けれども、根管治療を行わず抜歯を選択すると、歯を補うための治療が必要です。
入れ歯にはさまざまな種類がありますが、自由診療の入れ歯の場合は費用負担も大きくなります。
インプラント治療を行う場合は、費用面だけでなく身体的な負担も考えなければいけません。
また、ブリッジを行う場合は、支えとなる両隣の歯に負担がかかり、将来的に追加の治療が必要となることがあります。
根管治療によって、歯を残すことができれば、歯を補う治療は不要です。
長期的な視点で見れば、トータルの医療費を抑えられる可能性があります。
精密な根管治療を行うための当院の3つ取り組み
1．歯科用CTを使った精密な診断
歯科用CTでは、お口全体を立体的に映し出すことができるので、歯根や根管の形状や、根尖病巣の有無や大きさを確認できます。
根管治療では、感染した部分を的確に取り除き、しっかりと殺菌することが重要です。
根管は湾曲していたり、枝分かれしていたりと非常に複雑な形状をしています。
CT画像を確認することで根管の状態をイメージしやすくなり、根管治療の精度を高めることができるのです。
2．マイクロスコープを用いた的確な治療
マイクロスコープは、医療用の精密な顕微鏡で視野を最大20倍まで拡大することができます。
根管内部は非常に狭く、目視には限界があります。
マイクロスコープを用いることで歯の深いところまで確認することができるため、根管の先まで的確にアプローチすることができるのです。
重症化したむし歯でも、根管の先までしっかりと消毒できれば、抜歯を回避できる可能性があります。
3．ZOOを用いた防湿治療
唾液には、さまざまな細菌が含まれています。
そのため、できる限り唾液に触れない環境で、根治療を行うことが大切です。
当院では、バキュームに接続して使用するチューブ型の器具のZOOを使用しています。チューブに空いた穴から唾液を吸い込み、唾液に触れにくい環境で治療を行うことにより、治療の成功率を高めています。
重症化したむし歯は住ノ江駅直結の「すみのえ駅前歯科」にご相談ください
当院では、できるだけ「神経を残す」「歯を残す」ことを大切にしています。
これまで当院では重度のむし歯を多く診療してまいりました。
「ボロボロになった歯を見せるのは恥ずかしい」「歯科治療が怖い」という理由で治療を先延ばしにしてしまうと、大切な歯を失ってしまうことになるかもしれません。
当院では、ボロボロの歯でも残せるように精密な根管治療を行っています。
また、できるだけ痛みを抑えられるよう配慮して治療を進めますので、歯科治療に不安がある方はお知らせください。
根管治療を成功させるためには、一つ一つの工程を丁寧に行う必要があり、症状や治療経過によっては、通院回数が多くなる場合もあります。
基本的には1回の治療では終わらないため、次の治療までの間は、仮の蓋で細菌の侵入を防ぎます。
仮蓋は治療を再開するときには取り外しますが、食事や歯磨きなどによって外れることがあるため注意が必要です。
患者さまが不安に感じることなく治療を最後までやりとげられるように、「どのような治療を行っているか」をその都度ご説明しますので、わかりにくいことがある場合は遠慮せずにご質問ください。
当院は、南海本線「住ノ江駅」直結のビルの1階にあります。
駅ビルには駐車場も完備していますので、お車でお越しの方はご利用ください。
