むし歯が進行して、ひどく歯が痛むようになると、「歯を抜かないといけないのかな」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、神経まで感染が広がったむし歯の場合、以前は抜歯が最終的な治療法とされていました。
けれども、最近の歯科治療では、「根管治療」を行うことで、抜歯をせずに歯を残す可能性が高くなりました。
当院の「根管治療」では、成功率をより高めるために、歯科用顕微鏡である「マイクロスコープ」を使った治療が行われています。
マイクロスコープを活用することで、歯の細部まで精密に治療できるようになり、難しいケースでも歯を残せる可能性が広がったのです。
今回は、マイクロスコープを使った根管治療のメリットや、どのように歯を守るかについて説明します。
奥村 礼二郎 院長
2004年3月
東京歯科大学卒業
2004年4月
東京歯科大学院歯学研究科入学
2008年3月
東京歯科大学院歯学研究科卒業
2009年4月
大阪府下の歯科医院にて勤務
2016年5月
すみのえ駅前歯科開業
Melbourne ITI Education Week2022 参加
医院名:すみのえ駅前歯科
所在地: 〒 559-0005
大阪市住之江区西住之江1丁目1−31N.KLASS住ノ江1階
Contents
精密な治療を可能にする歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」
「マイクロスコープ」による根管治療は、従来の方法では限界があった複雑なケースでも、精密な治療が可能です。
マイクロスコープは、歯科治療で使用される高倍率の顕微鏡で、治療部位を拡大して詳細に観察することができます。
たとえば、感染が奥深くまで進んでいる場合や、細い歯の根の中に病変がある場合でも、マイクロスコープを使用すれば、状況をしっかりと把握することが可能です。
適切な処置を施しやすくなるため、治療の成功率が上がり、歯を抜かずに残せる可能性が高まるのです。
根管治療におけるマイクロスコープの役割
根管治療は、むし歯や感染によって炎症を起こした歯の神経を取り除き、根管の中をきれいに消毒・充填する治療です。
根管とは、歯の内部にある細い管のことで、歯の神経や血管が通っており、歯の健康を維持する上で非常に重要な役割を担っています。
2017年(平成29年)に行われた患者調査によれば、歯科治療を受けた方のうち約18%が根管治療を受けており、多くの方が根管治療を受けていることがわかります。
けれども、歯の根は非常に細く、複雑な形状をしているため、肉眼で確認するのは難しいのが現状です。
そこで活躍するのがマイクロスコープです。
参照:厚生労働省e-ヘルスネット「歯の神経の治療(根管治療)」 >
当院のマイクロスコープは、最大20倍に拡大された視野を提供することで、根管内部の細かい部分まで確認できます。
これにより、通常の治療では見逃しやすい微細な感染部位も把握でき、根管治療の精度を大きく向上させるのです。
どのようなケースでマイクロスコープが有効?
マイクロスコープは、以下のような状況で、特に効果を発揮します。
これらのケースでは、肉眼や一般的なルーペでは対応しきれない細部の処置が求められるため、マイクロスコープが不可欠なツールとなるのです。
根管が複雑に分岐している場合
根管は非常に細かく複雑な構造をしており、1本の根管内に分岐や湾曲があることが少なくありません。
このような場合、肉眼や一般的な器具では根管内をしっかり確認することが難しく、感染部分や汚れが取り除けない可能性があります。
マイクロスコープは、高倍率に拡大した視野と明るい照明を提供するため、肉眼では見えない根管の細かい構造や分岐部分を確認することが可能です。
根管の先端まで細菌が侵入しているケース
むし歯や感染が進行すると、細菌が根管の先端にまで到達することがあります。
このようなケースでは、根管全体を徹底的に清掃・消毒する必要があり、特に根管の先端部分を精密に処置することが歯を残せるかどうかの鍵となります。
マイクロスコープは、肉眼では見えない根管の最深部まで視認できるため、感染源の取り残しを防ぎ、再発リスクを軽減することができるのです。
過去に行った根管治療の再治療
根管治療を受けた歯が再び痛み出したり、感染が見つかったりした場合には、再治療が必要になることがあります。
過去に治療された根管内には、細菌の残骸が残っている可能性があり、それらを取り除いて再治療を行うのは非常に難易度が高い作業です。
マイクロスコープを使うことで、根管の側枝や分岐部分などの肉眼では見えない場所も確認でき、感染源を丁寧に取り除くことが可能です。
マイクロスコープを使った治療の3つの特徴
ここで、マイクロスコープを使った治療の特徴を3つ紹介します。
【特徴1】精密な視野で治療の精度を向上
マイクロスコープを使用することで、肉眼では見えない細菌の残留や感染部分を確認しながら精度の高い治療をすることができます。
その結果、感染再発のリスクを軽減でき、治療成功率が高まることにつながります。
【特徴2】歯を残す可能性を高める
従来は抜歯が必要とされるような重度の感染でも、マイクロスコープを使えば精密な処置ができ、歯を残せる可能性が高まります。
根管治療で大切なことは、
・根管内にいる細菌をできるだけ消毒すること
・新たに根管内に細菌を侵入させないこと
です。
これらを徹底することで、歯を残せる可能性がより高くなるのです。
【特徴3】痛みや不快感を軽減できる
マイクロスコープにより治療部位がはっきり見えるため、無駄に歯を削るような処置を避け、必要最小限の治療で済ませられることが多くなります。
そのため、治療後の痛みや腫れなどの不快感も軽減できる傾向にあります。
根管治療で歯を残すメリット
悪化したむし歯でも、適切な治療を受ければ、歯を残せる可能性が高くなります。
歯を失ったとしても「入れ歯」や「ブリッジ」、「インプラント」などの義歯がありますが、やはり天然の歯にはかないません。
歯を残すメリットは多岐にわたっているのです。
【メリット1】自然な咀嚼機能の保持
歯は食べものを咀嚼するために欠かせない存在です。
特に、天然の歯は人工の義歯とは異なり、噛む力や感覚が自然でスムーズです。
天然の歯は、歯根がしっかりと顎の骨に埋まっているため、かたい食品や繊維質の多い食品も問題なく咀嚼できます。
歯が抜けてしまうと、その部分の咀嚼力が失われ、残った歯や顎への負担が増加する可能性があるのです。
また、天然の歯には、歯の根と歯を支える骨の間にある歯根膜という膜があり、噛む際の力加減や食べもののかたさを感知するセンサーの役割を果たしています。
この機能があることで、快適に食事ができるだけでなく、無意識のうちに噛む力を調整して、顎や歯を保護する動きも行われています。
さらに、歯を失うと、食べものを効率よく噛むことが難しくなり、消化に影響を与える可能性があるので注意が必要です。
天然の歯があることで、効率的に咀嚼でき、食べものの消化吸収がスムーズになります。しっかりと咀嚼することで、食べものを細かく砕け、消化器官への負担が軽減されるのです。
【メリット2】周囲の歯の健康の維持
歯が抜けると、隣接する歯がその空いたスペースに向かって傾いたり移動したりすることがあります。
この歯列の乱れが進むと、かみ合わせが悪くなる原因になるのです。
根管治療で歯を残すことで、歯列の安定性が保たれ、周囲の歯が正しい位置に留まりやすくなります。
また、歯が1本欠けるだけでも、噛む力のバランスが崩れます。
周囲の歯や顎に過剰な力がかかると、歯がすり減ったり、歯周病が悪化するリスクが高まる原因にもなるのです。
歯を残すことで、噛む力が均等に分散され、周囲の歯の寿命を延ばすことにつながります。
【メリット3】 顎の骨の健康を守る
歯を失うと、顎の骨が刺激を受けなくなり、骨量が減少することがあります。
通常、噛む力が歯を通じて顎の骨に伝わり、その刺激が骨の維持を促します。
けれども、歯を失うとこの刺激がなくなるため、顎の骨は次第に痩せていき、骨吸収(骨の減少)が進行するのです。
このように、歯を失うと顎の骨が次第に痩せていくリスクが高まりますが、根管治療によって歯を保存することで、顎の骨を健康に保つことが可能です。
「すみのえ駅前歯科」の根管治療の特徴
すみのえ駅前歯科では、できる限り「痛みの少ない」「削りすぎない」「歯を残す」治療を行っています。
根管治療においても、患者さまの大切な歯をできるだけ守る治療を心がけています。
唾液を吸引するための「ZOO」で感染のリスクを軽減
「ZOO」とは、歯科治療中に唾液の影響を最小限に抑えるために使用される専用の吸引器具です。
根管治療では、感染を避けるため、治療中に根管内部をできる限り無菌状態に保つことが非常に重要です。
そのため、唾液や他の汚染物質が治療部位に触れることを防ぐ必要があります。
「ZOO」は、チューブ型の器具で、バキュームに接続し、治療中に唾液を吸引する機能を持っています。
チューブには小さな穴が空いており、この穴を通じて唾液や水分を効率よく吸引するのです。
これにより、治療中に患部が唾液や血液に触れない環境を確保し、治療部位が乾燥した状態を保つことができます。
痛みや不安を和らげる「笑気吸入鎮静法」を導入
笑気吸入鎮静法とは、「笑気ガス(亜酸化窒素)」と酸素を混合した気体を鼻から吸入することで、緊張を緩和し、治療中の痛みや不安を和らげる方法です。
特に、歯科治療に対して恐怖心を持つ患者さまやリラックスした状態で治療を受けたい方におすすめです。
根管治療のように時間がかかる治療では、患者さまがリラックスできる環境を提供することで、治療中のストレスを軽減できる効果が期待できます。
悪化したむし歯の治療「根管治療」は「すみのえ駅前歯科」までご相談を
大阪市住之江区の歯医者【すみのえ駅前歯科】では、悪化したむし歯でも、抜歯はできるだけ避け、患者さまご自身の歯を守ることを大切にしています。
「抜くしかない」と診断された場合でも、マイクロスコープを使った精密な治療で歯を残せる可能性があります。
「ひどいむし歯で歯がボロボロになっている」「こんなに悪化したむし歯を歯医者さんに見せるのが恥ずかしい」などでお悩みの方は、お気軽に当院までご相談ください。
重度のむし歯でもできるだけ歯を残せるよう尽力させていただきます。