
歯周病が進行して「重度」と診断されると、「もう歯を抜くしかない」「この歯は残せない」といわれるのではないかと感じてしまうのではないでしょうか。
確かに、歯周病が進行すると歯を支える骨や歯ぐきの大部分が失われてしまうため、「抜歯」と診断されるケースも少なくありませんでした。
けれども、条件が合えば「歯周組織再生治療」を行うことができ、歯を残せる可能性があります。
ここでは、歯周病治療で抜歯を回避することのメリットと、重度の歯周病でも歯を残せる可能性がある歯周組織再生治療についてお話しします。
Contents
歯周病治療で抜歯を回避することの5つのメリット
歯は一度抜くと、二度と生えてくることはありません。
「年をとったら歯を失うのは仕方ない」「歯を失ったら入れ歯を入れればいい」とお考えの方もいらっしゃるでしょうか。
けれども、抜歯を回避して天然の歯を維持することには、次のようなメリットがあります。
1.天然の歯の噛み心地を維持できる

歯を残すことで、自分の歯で噛み続けることができます。
天然の歯は、歯の根の周囲にある「歯根膜」を通じて、噛む力や食感、温度などの微妙な感覚を脳に伝えているのです。
入れ歯などの人工歯は、天然の歯のように歯根膜を介した繊細な感覚とは仕組みが異なります。
歯周組織再生治療によって歯を残すことができれば、「しっかり噛める」「噛んだときの違和感が少ない」といった、天然歯ならではの感覚を保つことにつながります。
2.抜歯後に歯を補う治療が必要ない
歯を失うと、できるだけ早く補う必要があります。
歯には1本1本役割があり、たとえ1本でも失ってもいい歯はありません。
抜歯後には、インプラント、ブリッジ、入れ歯などの歯を補う治療が選択肢となります。
治療期間や費用、治療後の噛み心地などには違いがありますが、どの治療を選んでも、
・費用やメンテナンスの負担がかかる
・噛み心地に違和感を覚える場合がある
という可能性があります。
歯を残すことができれば、このような「抜歯後に歯を補う治療」は必要ないのです。
3.日常生活への影響が出ない

歯を失うことで、食事や会話などの日常生活に影響が出る場合があります。
どのようにすぐれた人工歯であっても、天然の歯に優るものはないのが現状です。
これまでのように噛めない状態では、
・硬いものを避けるようになる
・食事が楽しめなくなる
・発音や会話に不安を感じる
といった影響が出ることがあります。
自分の歯を残すことは、食事や会話といった日常生活の質を保つことにもつながるのです。
4.ほかの歯を残すことにつながる
歯を失うと、そのスペースに向かって周囲の歯が少しずつ傾いたり、動いたりします。
これにより、
・歯並びが乱れる
・歯と歯の間に汚れがたまりやすくなる
・新たな歯周病やむし歯のリスクが高まる
といった影響が生じることがあります。
歯を残すことは、周囲の歯を守ることにもつながるのです。
また、抜歯後にかみ合わせが変化すると、特定の歯に負担が集中し、
・歯が割れる
・歯周病が進行する
といった悪循環が起こることもあります。
歯を残すことで、かみ合わせのバランスを保ちやすくなり、結果的にお口全体の健康維持につながります。
5.顎の骨を維持しやすくなる

歯を支えている顎の骨は、噛む刺激が加わることで健康な状態が保たれています。
そのため、歯を失って噛む刺激が伝わらなくなると、顎の骨は少しずつやせていく「骨吸収」が起こります。
顎の骨がやせると、歯ぐきが下がりやすくなり、歯が長く見えたり、歯並びに影響が出たりすることがあるのです。
さらに、顎の骨の吸収が進むと、
・口元がへこんで見える
・顔の輪郭が変わる
といった見た目の変化につながる恐れもあります。
歯を残して噛む刺激を維持することは、お口周りのバランスやお顔の輪郭を保つといったことにつながるのです。
また、顎の骨の量が不足すると、インプラント治療を行うことができなくなる可能性もあります。
重度の歯周病でも抜歯を回避できる可能性がある治療法「歯周組織再生治療」とは
歯周病が重度まで進行すると、歯を支える骨が大きく失われます。
そうなると、「抜歯」を提案されることがあります。
しかし、すべての重度歯周病が必ず抜歯になるわけではありません。
重度の歯周病が原因の抜歯を回避するために行うのが、「歯周組織再生治療」です。
歯周組織再生治療とは

歯周組織再生治療とは、失われた歯周組織(歯槽骨・歯根膜・歯ぐき)を、再生させることを目的とした外科的治療です。
治療では、
・歯周ポケット内部の感染組織を徹底的に除去
・再生を促す薬剤や材料を使用
・歯周組織が回復しやすい環境を整える
といった処置を行います。
条件が整えば、歯を支える骨が再生し、歯を安定して支えられるようになる可能性があります。
歯周組織再生治療の前に必要な「歯周基本治療」

歯周組織再生治療は、失われた歯周組織の回復を目的とした高度な治療ですが、いきなり再生治療を行うわけではありません。
治療の効果を十分に引き出すためには、まずお口の中の環境を整えることが重要です。
そのために行うのが、「歯周基本治療」です。
歯周基本治療では、歯ぐきの中や歯の根の表面に付着した歯石やプラーク(歯垢)を丁寧に取り除き、歯周病の原因となっている細菌の数や炎症をコントロールします。
炎症が強い状態のまま再生治療を行ってしまうと、治癒が妨げられ、十分な効果が得られない可能性があります。
また、歯科医院での治療と並行して、患者さまご自身によるセルフケアの見直しも必要です。
適切な歯磨きの方法や歯間ブラシ・デンタルフロスの使い方を身につけて、毎日のケアでお口の中を清潔に保つことが、再生治療の成功率を高めることにつながります。
歯周組織再生治療の対象となる「歯」とは
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歯周組織再生治療は、すべての歯に適応できるわけではありません。
治療が可能かどうかは、歯や顎の骨の状態だけでなく、全身状態や生活習慣も含めて、総合的に診断します。
歯周病によって骨が失われていても、欠損の形が再生に適した状態であれば、歯周組織再生治療の効果が期待できる場合があります。
一方で、骨の吸収が広範囲に及んでいる場合や、歯を支える骨がほとんど残っていない場合には、再生治療が難しいこともあるのです。
また、歯根の形や長さ、割れやヒビの有無、歯の動揺の程度なども重要な判断ポイントです。
歯の根に亀裂が入っている場合や、むし歯が歯ぐきの深い位置まで進行している場合や、強い動揺があり、噛む力に耐えられない状態の歯では、再生治療を行っても十分な効果が得られないことがあります。
さらに、全身の健康状態も重要です。
糖尿病などの全身疾患がコントロールされていない場合や、喫煙習慣がある場合は、傷の治りが遅くなり、再生治療の成功率に影響を及ぼす可能性があります。
精密な検査と診断を行った上で、歯を残せる可能性があるかどうかを慎重に見極めることが、歯周組織再生治療において重要なポイントとなります。
歯周組織再生治療における注意点

歯周組織再生治療を行う前には、次の点に注意が必要です。
適用できないケースもある
歯の状態によっては、再生治療を行っても十分な効果が得られない場合があります。
特に、歯を支える骨の欠損が広範囲に及んでいる場合や、歯根にヒビや破折がある場合は、治療の適応外となることがあります。
無理に歯を残すことが、かえって炎症の再発や周囲の歯への負担につながることもあるため、長期的な視点で慎重に判断することが重要です。
治療期間が長くなる
歯周組織の再生には時間がかかります。
治療後すぐに歯ぐきや骨が元の状態に戻るわけではありません。
時間をかけて、少しずつ回復していくのが一般的です。
そのため、通院回数や経過観察が必要となることをご理解いただき、治療にご協力いただくことが大切です。
外科手術が必要
歯周組織再生治療は、外科処置によって、歯ぐきを開きます。
そのため、治療後には一時的な腫れや痛み、違和感が生じることがあります。
日常生活に大きな制限が出ることは少ないものの、食事や運動、喫煙などに関する注意点について、事前にご理解いただくことが必要です。
治療の成功には、外科手術そのものだけでなく、術後の管理が大きく関わります。
治療後は、定期的な歯科医院でのチェックやクリーニングに加え、適切な歯磨きや歯間ケアなどのセルフケアを継続することが欠かせません。
抜歯を回避したい方はお気軽にご相談ください

抜歯を回避して、天然の歯を維持することには、多くのメリットがあります。
歯を残すか、抜歯を選ぶかは、将来的なお口の健康や生活の質に大きく関わります。
「本当に抜歯しか方法がないのだろうか」「自分の歯を残せる可能性があるなら知りたい」
と感じている方は、当院にご相談ください。
当院では、患者さまお一人お一人のお口の状態を診て、適切な治療方法をご提案します。
歯周病は、症状に応じた治療が必要です。
歯周組織再生治療にも対応していますので、重度の歯周病でお悩みの方、抜歯を避けたいとお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。







