「歯周病」というお口の病気のことを耳にされる機会は多いかもしれませんね。
けれども、「実際にどのような病気なのか?」といわれると、よくご存じではない方もいらっしゃるでしょう。
歯周病は、日本人が歯を失う一番の原因となっており、「国民病」ともいわれるくらい身近な病気です。
特に喫煙習慣のある人は、歯周病のリスクが高まることが知られています。
では、なぜタバコを吸うと歯周病になりやすいのでしょうか?
また、喫煙者以外ではどのような人が歯周病のリスクが高いのかを解説します。
奥村 礼二郎 院長
2004年3月
東京歯科大学卒業
2004年4月
東京歯科大学院歯学研究科入学
2008年3月
東京歯科大学院歯学研究科卒業
2009年4月
大阪府下の歯科医院にて勤務
2016年5月
すみのえ駅前歯科開業
Melbourne ITI Education Week2022 参加
医院名:すみのえ駅前歯科
所在地: 〒 559-0005
大阪市住之江区西住之江1丁目1−31N.KLASS住ノ江1階
Contents
喫煙者は歯周病にかかりやすく、歯を失うことにつながりやすい
「喫煙」は歯周病の発症・進行を早め、最終的に歯を失うリスクを大幅に高めることがわかっています。
厚生労働省によると、タバコを吸う方は、吸わない方と比べて歯周病に3倍以上かかりやすいという結果が出ています。
歯周病とは
ここで、歯周病について詳しく説明します。
歯周病とは、細菌によって引き起こされる感染症で、歯ぐきに炎症を起こして歯ぐきや歯を支える骨である「歯槽骨」を溶かす病気です。
悪化すると歯がぐらつき、最終的には歯が抜け落ちる原因になります。
健康な方でも、歯と歯ぐきの間には1~2mm程度の浅い溝がありますが、歯周病が進行するとこの溝が深くなり、「歯周ポケット」と呼ばれる状態になります。
歯周ポケット内は酸素が少なく、歯周病菌が増殖しやすい環境です。
ここに歯周病菌が繁殖することで歯周病がさらに悪化し、歯ぐきが腫れ、よりポケットが深くなるという悪循環に陥るのです。
この歯周ポケットが4~5mmだと初期の歯周病、6mm以上で重度の歯周病と診断されます。
2022年(令和4年)に行われた厚生労働省の歯科調査によると、45歳以上の約4割の方に4mm以上の歯周ポケットの症状があらわれています。
参照:厚生労働省「令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要」p22 表19 >
タバコを吸うと歯周病になりやすいのはなぜ?
それでは、タバコを吸うと歯周病になりやすい理由を説明します。
歯ぐきの血流を悪化させる
タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させる作用があります。
歯ぐきの血流が悪くなると、栄養や酸素が行き渡りにくくなり、歯ぐきの細胞の回復力が低下します。
その結果、歯周病を発症・進行させる原因となるのです。
免疫機能を低下させる
喫煙によって免疫機能が低下し、歯周病菌に対する抵抗力が弱まります。
健康な状態であれば細菌を排除する働きを持つ白血球ですが、喫煙によってその機能が低下し、歯周病に感染しやすくなります。
唾液の分泌量が減少する
タバコを吸うと、お口の中が乾燥しやすくなります。
唾液には、細菌を洗い流したり、歯や歯ぐきを保護したりする働きがあります。
けれども、喫煙によって唾液の分泌が減ると、歯周病菌が繁殖しやすい環境になり、歯周病のリスクが高まるのです。
歯ぐきの炎症に気づきにくい
喫煙者の歯ぐきは、血流が悪くなることで炎症が起きていても腫れや出血が目立ちにくくなります。
そのため、歯周病が進行しても自覚しにくく、気づいたときには重症化しているケースが少なくありません。
歯周病になりやすい人の7つの特徴
「喫煙者」を含め、どのような特徴の方が歯周病になりやすいのでしょうか。
1.歯磨きが不十分
歯垢(プラーク)が歯ぐきにたまると、歯周病菌が繁殖しやすくなります。
歯周病のおもな原因は歯垢に含まれる細菌です。
歯周病菌を含む歯垢が歯と歯ぐきの境目にたまると、歯ぐきが炎症を起こし、歯周ポケットが深くなり、炎症が悪化するのです。
歯と歯の間や歯ぐきの境目は、歯ブラシだけでは汚れが落としにくいため、デンタルフロスや歯間ブラシを使ったケアが必要です。
2.タバコを吸う
タバコは歯周病を発症させ、悪化させる大きな原因の一つです。
また、喫煙者は歯周病の治療効果が低く、回復が遅いことが知られています。
タバコに含まれる有害物質が血流を悪化させ、歯ぐきの抵抗力を低下させるため、治療を受けても組織の修復が十分に進まないことが原因です。
けれども、禁煙することで歯を支える組織の状態が改善し、歯周病の進行を抑える効果が期待できます。
血流が回復し、免疫機能が向上することで、治療の効果が高まり、歯ぐきの健康を取り戻しやすくなるのです。
3.歯並びが悪い
歯並びが悪いと、「歯と歯の間」や「歯と歯ぐきの境目」が磨きにくくなります。
細かい部分に汚れが残りやすくなり、それが歯周病菌を増殖させる原因となるのです。
4.糖尿病の方
糖尿病の方は、免疫機能が低下しているため、歯周病にかかりやすいといわれています。
高血糖の状態が歯周病を悪化させるだけでなく、逆に歯周病が血糖値のコントロールを難しくさせることがわかっています。
その一方、歯周病を適切に治療することで、糖尿病の症状の改善も期待できるのです。
5.口呼吸をしている
口呼吸をすると、お口の中が乾燥しやすくなり、唾液の分泌が減少します。
唾液が少ないと細菌が増えやすくなり、歯周病のリスクが高まります。
6.歯ぎしり・食いしばりをしている
歯ぎしりや食いしばりは、無意識に歯に強い圧力をかける習慣です。
これにより、歯の根元や歯ぐきに大きな負担がかかり、繰り返し強い力が加わることで歯周組織が損傷し、歯周病が進行しやすくなります。
7.妊娠中の方
妊娠中は、「エストロゲン」や「プロゲステロン」といったホルモンの分泌が増加します。
これらは、妊娠中の女性において非常に重要なホルモンで、妊娠の維持や発育に関わるさまざまな生理的変化を引き起こします。
その反面、歯ぐきの血流が増加し、炎症を引き起こしやすくなるため、歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりするので注意が必要です。
歯周病が悪化するとどうなる?
それでは、歯周病が悪化するとどのような症状があらわれるのでしょうか。
歯ぐきの腫れ・出血が増加する
初期段階では歯ぐきが赤く腫れ、歯磨き時に出血しやすくなります。
進行すると痛みや膿が出ることもあり、口臭の悪化を引き起こします。
歯がぐらつき噛みにくくなる
歯周病が進行すると、歯を支える骨である「歯槽骨」が溶けていき、歯がぐらつき始めます。
噛むと違和感が出たり、食事がしにくくなったりします。
全身の健康に影響を与える
歯周病が悪化すると、以下のような全身の病気に影響を与えることが知られています。
・心疾患・脳梗塞のリスク増加
・誤嚥性肺炎のリスク増加
・認知症の進行
・糖尿病の悪化
歯が抜ける
最終的には、歯を支える骨がほとんどなくなり、歯が自然に抜け落ちたり、抜歯が必要になったりします。
歯周病を予防するには
歯周病を予防するためには、日々のケアと生活習慣の改善が重要です。
正しい歯磨きを心がける
1日2回以上、丁寧に歯を磨くことが大切です。
特に、歯と歯ぐきの境目を意識して磨きましょう。
歯周病の症状がある方は、歯ぐきを傷つけないよう、やわらかい毛先の歯ブラシを選ぶのがおすすめです。
また、歯ブラシのヘッドが小さめのものを選ぶと、奥歯までしっかり届きやすくなります。
デンタルフロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシだけでは落としきれない歯垢を取り除くために、デンタルフロスや歯間ブラシを活用しましょう。
歯ブラシだけでは、6割程度の汚れしか落とすことができませんが、デンタルフロスを使うことで79%、歯間ブラシを使うことで85%まで、除去率が上がります。
禁煙する
喫煙は歯周病の大きなリスク要因です。
禁煙することで、歯ぐきの血流が改善し、歯周病のリスクを軽減できます。
まずはタバコの本数を減らすことから始め、最終的には禁煙をめざしましょう。
定期的に歯科検診を受ける
歯周病は初期段階では症状が現れないことがほとんどです。
歯ぐきが赤く腫れたり、出血したりすることがあるものの、多くの場合は痛みを伴わないため、気づかないうちに進行してしまいます。
定期検診では、スタッフが専門的な器具を使って、歯ぐきの状態や歯周ポケットの深さをチェックし、歯周病の初期症状を早期に発見します。
「歯周病で歯がグラグラ……」歯周病の予防と治療は当院までご相談を!
タバコを吸うことは、歯周病の大きなリスク要因のひとつです。
また、喫煙している本人よりも、周りのタバコを吸っていない「受動喫煙」の方がリスクが高いことがわかっています。
大阪市住之江区の【すみのえ駅前歯科】は、重度の歯周病の方も多くご来院されている歯医者です。
「歯周病が進行して歯がグラグラしている」「歯周病で歯がボロボロ……」という方も、歯槽骨の再生を促す「歯周再生治療」などを行うことで、歯を残せる可能性があります。
患者さまのお口に合わせた歯周病治療で、お口の機能の改善をめざしますので、まずは当院までご相談ください。
当院は、南海本線「住ノ江駅」直結した通いやすい歯科医院です。
駅ビルには、駐車場や駐輪場も完備しているので、お車や自転車でも通院いただけます